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●〜早期糖尿病コントロールの重要性〜

Dr.健康ミニ講座

早期糖尿病コントロールの重要性

(順天堂大学医学部内科学 教授 河盛隆造先生)

■はじめに

かって糖尿病の外来診療においては、朝食前血糖値のみが血糖コントロールの指標であった。SU(スルホニル尿素)薬を服用している例も、インスリン注射療法中の例においてすら受診日は朝食をとらずに来院し、検査を受けざるを得なかった。しかも、いつも午前
9時ごろに採血ができるわけではなかった。午後1時の“朝食前血糖値”を測らざるを得なかったことも多かった。当時はSU薬が治療薬の大半を占めており、 したがって空腹時血糖値が充分上昇してから投薬を始めざるを得なかった。当然、多くの患者で良好な血糖コントロールを維持することはたやすくなかった。そ の当時の血糖コントロールの不良さが、近年の糖尿病性網膜症による失明、腎症による透析導入の著増をもたらしている、と訴えたい。

20年以上前に、グリコヘモグロビン(HbA1c)値が臨床に採用された。その結果、来院時食後血糖値とグリコヘモグロビン値を組み合わせることにより、対象患者のその時点での血糖日内変動を推測することが可能となった。

さらに約12年前より、毎食後の血糖値の異常な上昇を抑制する治療薬、αグルコシダーゼ阻害薬やインスリン分泌パターン改善薬などが次々と登場したことか ら、2型糖尿病治療の目標が、空腹時血糖値上昇の抑制は当然であり、さらに食後血糖をも是正し、ひいては動脈硬化症の発症・進展を抑制すること、へと変貌 したといえる。

2型糖尿病の発症時期は正確に把握できない。毎年のように検診を受け、空腹時血糖値のみならずグリコヘモグロビン値が測定されている際には、確かに 発症時期と診断時期が一致する。一方、大半の例は診断時期と真の発症時期とでは、数年の乖離(かいり)がある、と捉えるべきである。したがって、診断直後 であっても、網膜症、腎症、神経症状が発症していないか検査すべきであろう。診断直後であり、早期軽症糖尿病状況と捉えた際にも的確な治療が必須である。 このステージは、耐糖能が軽度低下し、空腹時血糖値が少々高い状況、あるいは正常域であっても食後血糖応答が異常に高くなっているといえよう。この状態を 放置すると、糖尿病が進行し、空腹時高血糖を呈するにいたる。さらに一部の例では、このステージに動脈硬化症が進展することがあるからで
ある。

2型糖尿病は本邦において高血圧と並び、もっともありふれた疾病となった。2型糖尿病は治療に対応してインスリン分泌量やインスリンの働きが動的に 変動することから、外来診療において緻密に、的確な検査をおこない、治療法をきめこまやかに調整するべき疾病といえよう。具体的には、食事療法、運動療 法、αグルコシダーゼ阻害薬、メトホルミン、チアゾリジン薬、グリニド系薬、SU薬、インスリン注射療法の各々が、乱れた“糖のながれ”のいかなる点を是 正するのか把握し、最適な治療法の選択、さらに必要ならどのような薬剤を併用すべきか、常に個々の例で実践していくことになる。

2型糖尿病の発症機序は一例一例で、かつ各時点で病態は刻々と変動することから、病態生理を的確に把握することが介入手段を決定する上で必須となろう。

■1、2型糖尿病が増加している理由は?

なぜ耐糖能障害を有する例が激増しているのか、その理由として、過食、運動不足、肥満の増加を取り上げる。過食や運動不足が耐糖能障害例を増加させる機序として次のような構図が見えてくる。

過食や運動不足は、脂肪細胞に脂肪のみならずブドウ糖をより多く取り込ませ、脂肪細胞を肥大化させる。脂肪細胞から分泌されるアディポカインのバラ ンスが、動脈硬化症の発症・進展、さらに2型糖尿病の発症・進展に大きく関わることが証明され始めた。さらに筆者らは、肝や骨格筋細胞への脂肪蓄積が、直 接的にインスリンの作用を低下させることにより、耐糖能異常を発症すること、食事・運動療法が肝細胞内中性脂肪量、筋細胞内中性脂肪量を激減させ、 OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)血糖応答反応を激変させることを示した。
 
しかし、ごく限られた人のみが耐糖能以上や、2型糖尿病を発症するのはなぜであろうか。筆者は、「食後血糖値が上昇した際、瞬時のインスリン分泌 が見られない、遅延して分泌みられる、さらにインスリン分泌量も少ない」という2型糖尿病の遺伝表現型を有する例において、僅かにインスリンの働きを低下 させる事象が加わると、糖代謝異常がたやすく発症する、と捉えている。

もう一つの発症機序として、インスリン分泌パターンや分泌治療に異常がなくても、前述のように高度の過食、うんどう不足が持続すると、内臓脂肪蓄積型肥満、肝細胞内脂肪蓄積、筋細胞内脂肪蓄積、などを惹起し、肝・筋の糖代謝異常、脂質代謝異常などが発症する。

■2、耐糖能障害発症の病態機序は
 10時間以上の絶食にもかかわらず、朝食前空腹時血糖値が110mg/dl以上になっているのは、肝・糖放出率が全身・糖取り込み率を上回る状況 が継続した結果であり、その機序として圧倒的に多いのは、内因性基礎インスリン分泌率の低下、があげられるが、たとえインスリン分泌率が低下していな いとしても、インスリンによる肝・糖放出率が抑制されないこと、さらに(あるいは)インスリンによる筋・糖取り込み率が高まらないこと、が重なったためと 推定できる。
 
一方、ブドウ糖経口負荷後、あるいは食後の血糖値レベルの規定因子は何であろうか。食前血糖値のレベルに無関係に、食後には必ず血糖値が上昇する。食事 中の糖質が十二指腸で急速にブドウ糖と果糖に変換されて吸収され、門脈に流入する。その際、分泌されたインスリン量、インスリン分泌のダイナミクス、に よる肝へのインスリンの提供、肝が流入したブドウ糖をどの程度取り込むか、肝糖放出率が素速く抑制されるか、が食後血糖値を規定する。具体的には、肝 を通り抜け全身に廻ったブドウ糖量が食後血糖値を高めることになる。すなわち、食後に肝にどの程度ブドウ糖を取り込ませるかが、食後血糖応答制御のキーとなる。

■3、食後のみの異常な血糖上昇を放置できない理由は

〜糖尿病が進展すること、および動脈硬化性病変が発症する例が多いこと〜

「食後のインスリン分泌が生来低い、かつ遅延している」、という特質を有している例では、発症前にはむしろインスリンの働きが過正常である。すなわ ち全身細胞、とくに肝のインスリン感受性が亢進していて、食後には少ないインスリン分泌で肝糖取り込み率が亢進し、糖の流れを正常化させている。やがて軽 度の過食、内臓脂肪蓄積、脂肪肝、運動不足などのため、亢進していたインスリン感受性が健常人なみになると、インスリン分泌が少ないため、ただちに糖の処 理が不充分になる。これを血糖応答の面よりみると、最初の異常として食前正常血糖値、食後のみ短時間血糖値が健常人に比べ高くなる。

さらに、高血糖の持続時間が徐々に長くなり、やがて中食前血糖値、夕食前血糖値が高くなる。さらに進むと12時間以上の絶食にもかかわらず朝食前空腹時血糖値が高くなる。
 
すなわち、空腹時血糖値が126mg/dl以上となって、糖尿病と診断されたときには、すでに糖尿病罹病期間が長くなっている可能性があろう。すなわ ち、IFG(空腹時血糖値異常)、IGT(耐糖能異常)が診断された時期に、その原因を把握し、再び正常血糖応答の状況に戻すべく努力することが必須とな ろう。

 一方、肥満が糖尿病の引き金と捉えられがちだが、食後高血糖に刺激されて、遅延してむしろ過剰に分泌されたインスリンが、ブドウ糖を、とくに運動 不足の人では、肝のみならず脂肪細胞に取り込ませることとなり、肥満を助長させ、さらに脂質代謝異常を引き起こす。また、食後の遅延した、しかしむしろ過 剰なインスリンガ、例えばアンギオテンシンタイプ1受容体を刺激して高血圧を起こす、と捉えることもできよう。すなわち、“宿命的な”インスリン分泌動 態が、悪い仲間たちを勢揃いさせ、動脈硬化症を発展させる、と考察したい。

■4、メタボリックシンドロームと2型糖尿病の気になる関係
 
2005年4月に、本邦においてメタボリックシンドロームの「診断基準」が発表された。

すでに2型糖尿病を発症している例では、その治療が当然なされることとなる。メタボリックシンドロームを構成する“疾病”は、いずれも単独で動脈硬化症の 発症・発展を促進する。わざわざメタボリックシンドロームを定義する必要があるのは、「病気と診断するほどではない、未病の段階、発症寸前の状況である」 といった異常が数種、同一列に集積した際に、動脈硬化症が進展するからであろう。

したがって、本邦において重要なのは、メタボリックシンドロームが保険病名として採用され、対象「患者」の経過観察・治療を医師が実践しうるようにすることであろう。
 
糖尿病が発症するのを待つのではなく、未病状況を的確に捉え、発症予防することこそが最も効率のよい予防医療となるであろう。さらに、食後のみの 血糖値で発見された例では、糖尿病の進展阻止、動脈硬化症の発症・進展阻止のため、治療を開始すべきであることはいうまでもない。
 
2型糖尿病の自然史:正常血糖応答→IGT(耐糖能異常)、→IFG(空腹時血糖値異常)→糖尿病の発症、を変化させる可能性のある薬剤を筆者は【代謝調節薬】としてまとめている。
それには、αグルコシダーゼ阻害薬、メトホルミン、チアゾリジン誘導体、グリニド系インスリン分泌促進薬、スタチン、フィブラート、アンギオテンシンタイプ受容体阻害薬、ACE阻害薬などをあげたい。

これらは、2型糖尿病の進展を阻止する可能性を秘めている。“生活習慣病はひとつの病気”として、介入手段を的確に選択することが今後ますます重要となろう。

■ 肝糖取り込み率を高め、食後血糖応答を正常化させる因子

1 内因性インスリン分泌を回復させ、
肝へのインスリン流入量を増加させる ←高血糖を取り除く
←薬物療法のタイミングを逃さない
←例えば、毎食前の超速効型インスリンアナログによる、食後
  血糖応答制御の維持

2 肝への速やかなインスリンの提供 ←グリニド系薬、毎食前の超速効型インスリンアナログ注射

3 肝、筋の糖・脂質代謝を正常域に保持
する ←脂肪蓄積を除去する
←食事・運動療法、チアゾリジン薬、メトホルミン

4 毎食前の血糖値を正常域に保持する ←間食の禁止、インスリンアナログによる基礎インスリン分泌の補充

5 大量のブドウ糖の肝への流入を
穏やかにする ←頻回の清涼飲料水の摂取禁止、αグルコシダーゼ阻害薬
  食事の最初に食物繊維を摂取

6 インスリンの存在下に積極的に
肝にブドウ糖を取り込ませる薬剤 ←チアゾリジン薬、グリメビリド

■ まとめにかえて
〜 食後高血糖の制御手段―肝糖取り込み率を高めるために 〜
 筆者は長年にわたり肝糖取り込み率が食後血糖値を規定する、と捉え研究してきた。肝糖取り込み率制御因子をまとめると上記のようになろう。臨床現場で食後高血糖を是正する多くの手段を持ち合わせていることを認識すべきである。
 
糖尿病をはじめとする生活習慣病には、自覚症状がまったくない。日本ほど健診やドックで、早期に糖尿病が発見されている国はほかにない。しかし、 糖尿病に対する的確な説明をしないでいると、患者は当然糖尿病を放置することになる。意を決して受診した患者に対して血管障害の進行度や予後予測を正確に 伝え、血糖コントロールの重要性を患者自身が認知しなければ、長期にわたるコントロールは不可能であろう。血糖値、血清脂質、血圧の、総合的な管理があっ てはじめて血管障害の発症・進展阻止が図られる。血糖コントロールにおいても、多彩な薬剤の作用機序を考慮した使用、単独や併用療法により、低血糖を惹起 しない、食後高血糖をきたさない、優れたコントロールも可能となってきている。

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