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大腸10時間の旅

大腸・内幕物語り

大腸10時間の旅

 さて、大腸にもぐり込んで内側から探検するとなると、どうしてもSF映画「ミクロの決死圏」のような特殊潜航艇が必要になる。毛細血管まで行くわけではないから、せいぜい直径5ミリメートルほどの小さな潜航艇にすれば充分だろう(どうしたら、そんな潜航艇ができるかは読者の想像におまかせする)。

分化人類学などでフィールドワークを行うときには、隣村あたりで車をおりて、歩いて現地に入るというのがふつうのやりかたである。だから最初は、大腸に入る一歩手前の小腸の最後の部分、すなわち「回腸」の終りのあたりにワープしてなかへもぐりこむことにしよう。これは、目的地への時間かせぎのためであるが、小腸の最初の部分では、食物の小さな固まりが急にぶつかってくることもあって危険なためでもある。ところが小腸と大腸の境目はダムのようになっていて「流れ」がせき止められているので、ゆっくり乗り込んでも安心していられるのだ。

回腸の内側に入った第一印象は、まずモワッと温かいことである。温度をはかってみると37度Cぐらいある。なんといっても、おなかのなかだ、体温そのものである。光はさえぎられて、ほとんど届かないから暗い。たぶん、母親のおなかのなかにいたときもそうだったのだろう。腸の壁にぶつかると腸の働きを刺激してしまうので、サーチライトとソナーのスイッチをONにして、ゆっくり進もう。

ゆっくりではあるが、大腸の入り口の方向に向かって艇体が押し流されてゆく。以前、胃のなかにワープしたときは、ごはん粒やおかずのかけらがいっぱい見えていたが、回腸あたりになると野菜のかけらしか見えてこない。

艇の外は、胆汁の色に染められて黄色一色の世界だ。と、見ていると、窓の外をニンジンのかけらとサクラエビの殻が横切った。黄色以外の色がついている物を見るとホッとする。

艇を動かして小腸の壁のほうへ行ってみると、白くて細長い形をした細菌が腸の壁にはりついている。乳酸桿菌(ラクトバチルス属)である。流れの中心のほうは弱アルカリ性だが壁の近くでは中性に近くなっている。乳酸桿菌がつくる「乳酸」という有機酸のせいで、アルカリ性が弱められるのだ。

などと、のんびり見物していると、急に腸壁がくびれて、そのくびれが潜航艇のほうへグッとおしよせてきた。それで、周囲の消化物といっしょにググッと流されて、少し広々としたところに出た。どやら、大腸の入り口を通って結腸に入ったらしい。

結腸に入っても艇はそのままゆっくりと先のほうへ流されていく。
と思ったら、突然もと来たほうにおし戻された。戻される方向をソナーで調べると、どんづまりになった壁が立ちはだかっている。「大腸ガイド」を急いで開くと、大腸で行き止まりになっているのは盲腸だけとある。盲腸の奥のほうまで押し流されて、このままでは壁にぶつかると思ったら、また流れが反転して結腸の先のほうへ流される。こんな動きが、とめどなく繰り返される。

小腸にいるあいだは、ラッシュアワーの駅のように、大腸のほうへずっと流されるだけだったが、結腸と盲腸のあいだでは消化物が往復運動をするのだ。艇が行ったり来たりするので、どうも落ち着かない。流れの中心へ艇を移動させたら、流れはずっとゆるやかになった。

観測用の窓から外を見ると、まわりにはいろいろな細菌がいっぱい浮かんでいる。小さくて丸い細菌(球菌)がいっぱいいるし、その間には細長い形の細菌(桿菌)もいる。よく見ると桿菌には細いのや、太いのや、すこし湾曲したのもいる。「団体さん」のように一列縦隊につながった球菌や桿菌(連鎖球菌と連鎖桿菌)もいる。細胞分裂をしている細菌もいて、全体として、せっかちそうで元気のいいやつらが多い。

小腸で消化されなかった食べ物の残り粒がまだただよっているが、その表面には少しのんびりした顔の細菌がはりついて、足もとの粒をかじっている。


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