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老化抑制

老化抑制

 漢方薬研究の最前線 
老化の抑制効果が認められた新しい漢方薬

丹参製剤の「冠元顆粒」

富山医科薬科大学和漢薬研究所・横澤隆子助教授に聞く

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高齢化社会といわれる日本では、痴呆や寝たきり老人などへの対策が大きな課題となっています。3月に長崎で開かれた日本薬学会第123年会で、富山医科薬科大学和漢薬研究所の研究グループが、中国漢方(中医学)製剤である「冠元顆粒」が老化抑制に好影響をもたらしたと報告しました。そこで研究グループのリーダーである横澤隆子助教授(薬物代謝工学部門)に、研究の経緯と内容、今後の展望などについてうかがいました。


周恩来首相の指示で開発された漢方薬

富山医科薬科大学の和漢薬研究所は、植物・動物・鉱物など天然の薬物(生薬)のうち、特に漢方薬や日本の民間で開発された生薬(和漢)を専門とする国立大学では唯一の研究所で、日本におけるこの分野の中枢研究機関です。

同研究所の横澤隆子助教授は、1982年ころから腎疾患の動物モデルの研究をスタートし、84年にその製作に成功しました。これと並行して、腎不全に対する治療薬がほとんどないことから、それを漢方薬に求めていろいろ研究してきました。これまで経験的に使われていた漢方生薬をスクリーニングしていたところ、生薬「丹参(たんじん)」には中国で臨床・薬理データのあることがわかりました。

この丹参というのは、中国産のサルビアの根を乾燥させた生薬ですが、日本では従来ほとんど用いられていません。

ところが中国では、60年代後半から70年代にかけて、毛沢東主席ら建国の功労者たちの健康状態を憂慮した周恩来首相の指示で、脳・心血管疾患の特効薬の開発に取り組んできた結果、丹参を主役とした漢方薬が開発されるなど、臨床の現場で盛んに用いられています。

この新しい漢方薬は、北京にある中国中医研究院附属西苑医院らのプロジェクトチームで、中医師(中国の漢方医)・郭士魁(かくしかい)氏(1915〜1981)と薬理学者・李連達教授が中心になり開発した「」と呼ばれるものです。冠心号方は注射剤が中心でしたが、成都の華西医科大学でこの処方の一部の構成生薬を変え、一般向けに飲みやすい顆粒状に改良しました。これが「冠元顆粒」です。

これら冠心号方や冠元顆粒の主薬である丹参の臨床データに着目して、横澤助教授は腎不全治療の研究を開始しました。


生薬「丹参」に活性酸素消去作用

 横澤教授は、85年から現在まで共著も含め60編もの論文を発表してきました。これらの研究によって、腎臓に関する丹参の作用が初めて実験的に解明されました。丹参の中の「リソスペルミン酸マグネシウム塩」が、活性成分であり、これが腎機能を亢進させ、その結果体内に蓄積していた物質を排泄する作用のあることが突き止められたのです。 

また、最も毒性の強い尿毒症物質の「メチルグアニジン」が、クレアチニン(エネルギー源であるATP産生の際に、筋肉の中に含まれるクレアチニンが分解されてできる老廃物)から産生される過程も解明しました。そして、丹参の作用は、活性酸素消去である程度説明がつくという結論に達しました。

近年話題の「活性酸素」は、体に取り込まれた酸素がエネルギー代謝の過程で変化したもので、酸素よりも反応性に富んでいます。対になっていない電子(不対電子)を持っている活性酸素は「フリーラジカル(遊走基)」と呼ばれます。活性酸素には細菌の殺し屋としての働きもあり、生体に必要なものなのですが、過剰に生成されると生活習慣病の発症や老化の原因になるといわれ、別名「悪性酸素」とも呼ばれます。

したがって、丹参に活性酸素消去作用があるというのは、治療や予防の面で大きな効果が期待できる生薬だということになります。


マウスでの検討

横澤教授の研究室で冠元顆粒の研究を始めたのは2002年からで、ドクターコースの大学院生・佐藤亜希子さんの希望によるものといいます。佐藤さんは山形出身で、県の花である紅花(生薬名は「コウカ」)を研究対象に選びましたが、紅花単独ではそれほど作用が強くないことから、それを含む漢方薬ということで冠元顆粒を対象にして、横澤教授の指導のもと研究を始めました。幸い冠元顆粒は、1990年に日本で医薬品としての許可がおり、中国から輸入された製品が日本中医薬研究会に所属する全国各地の薬局薬店で販売されていて、入手も難しくはありません。

冠元顆粒の作用については、これまでにいくつかの報告があります。今回の研究では、日本が世界一の長寿国となり高齢化社会を迎えたことと、横澤教授が老化にフリーラジカルが関与するという理論に関心を持っていたことなどから、冠元顆粒と紅花が老化促進モデルマウス(頭文字をとりSAM(サム)と呼ばれる)に及ぼす効果を検討することにしたといいます。

「冠元顆粒」を構成する生薬のうち、丹参(タンジン)、川除U(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)、紅花(コウカ)には、活性酸素消去作用があり、とくに丹参が強いので、研究は活性酸素、老化、冠元顆粒という3つの視点でスタートしました」

このSAMは遺伝的な原因により若齢期より老化現象を発症する特殊なマウスで、いくつかの系統がありますが、今回用いられたのは、老年性アミロイド症(アミロイドはたんぱく質性の物質でこれが沈着したのが老人班)、聴力障害、網膜萎縮、肺過膨張変化、免疫機能異常、委縮腎、高血圧を発症するマウス(SAMP1)でした。

この動物実験では、マウス(34週齢)に冠元顆粒と紅花の水煎エキス(100mg/kg体重/日)、あるいは水(対照群)を、胃ゾンデという管で連日経口投与し、10週目に血液、肝臓、腎臓を採取して、組織中や血中の活性酸素に関係する物質の測定をしました。それは「窒素酸化物(NO)」、「スーパーオキシド」、さらにヒドロキシラジカルの指標となる尿中の「メチルグアニジン/クレアチニン比」です。また、「血清尿素窒素」と「血清クレアチニン」も、実験に用いたマウスが腎臓障害を呈しているため、腎機能の指標として測定しました。なお、さらに5週齢のマウスが、若齢対照群として用いられました。


最も活性の強い活性酸素の産生抑制を確認

「学会発表をするため研究結果をまとめているときに、紅花よりもやはり丹参のほうで説明がつくのではないかということから、以後は研究方向を軌道修正しています」とのことで、この研究はまだ進行中ですが、これまでに判明したおもな作用は、次のような内容です。

「窒素酸化物」は、老化マウスで上昇していたが、冠元顆粒投与群では下がった

ヒドロキシルラジカルは老化で亢進するが、冠元顆粒投与群では抑えられた(「メチルグアニジン/クレアチニン比」)

「血清尿素窒素」と「血清クレアチニン」は、腎臓が悪くなるとともに上昇するが、冠元顆粒投与でいずれも下がった

これらの結果について、「冠元顆粒投与により、最も活性の強いフリーラジカルのヒドロキシルラジカルの産生が抑えられたことは、注目に値すると思います」と、横澤教授は高く評価するとともに、「老化によって亢進するフリーラジカルを冠元顆粒が抑えているということは、活性酸素が関係している若いときの種々の疾患に対しても、冠元顆粒がそれなりに作用するのではないかと思われます」と述べています。

なお、副作用は認められなかったそうです。

これまでにわかったことから冠元顆粒による作用をまとめてみると次のようになります。

活性酸素の生成↓
ヒドロキシルラジカル(・OH)↓
スーパーオキシド(O2−)↓
一酸化窒素(NO)↓

障害の除去・修復↑
過酸化脂質↓
尿素窒素↓
クレアチニン↓
メチルグアニジン↓

抗酸化システム(防御)↑
SOD↑
カタラーゼ↑

すなわち「活性酸素」が抑えられ、抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ:SOD、カタラーゼほか)や抗酸化物質(グルタチオン、ビタミンEほか)が「抗酸化システム」の方向に作動し、その結果として傷害の除去・修復が行われます。

今後の展望については、次のように話しています。

「今回は腎臓機能からしか抗酸化作用を見ていないので、ほかの組織傷害についても実際に調べなければならないと思います。また、漢方処方というのは何種類かの生薬が複合したものですから、作用も複合的にいろいろ混ざっているということです。それを研究するということは、われわれ研究者にとってはまだ解明されていない大事な分野であろうと思っております。

たとえば冠元顆粒は6種類の生薬から構成されていますが、なぜそのような構成になっているのか。また漢方処方によっては、熱薬(体を温め興奮作用のある生薬)と寒薬(体を冷やし消炎・鎮痛作用のある生薬)が一緒に配合されているのはなぜかなどを、これから研究していかなければなりません。これが和漢薬研究所に課せられた課題だと思っています」  

(毎日ライフ2003・7月号より)































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