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肩・首すじのこりと痛み

Dr.健康ミニ講座
肩・首すじのこりと痛み

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 肩・首すじのこりと痛み

(田崎篤先生 聖路加国際病院整形外科・黒田栄史先生 聖路加国際病院整形外科) 

 肩こりは今や日本人の国民病ともいわれ、なんともいえないうっとおしさに悩んでいる方も多いかと思います。厚生労働省が実施した国民生活基礎調査をみても、わが国では肩こりを訴える人が非常に多いことが報告されています。しかも、男女ともに20代という若い年代層から増加し始め、働き盛りの30〜40台でピークに達し、高止まりのまま高齢期を迎える傾向が示されています。そこで、肩や首すじのこりや痛みに焦点をあて、その原因や予防法について紹介します。



肩こりは「病気による肩こり」と「病気未満の肩こり」に分けられる

 首、肩、腕あたりの不快な症状を、私たちは「肩こり」という言葉でひとくくりで表現していることが多いかと思います。しかし、実際には、「肩のこりと痛み」「首すじのこりと痛み」「後頭部の痛み」「腕の重圧感やしびれ」「指先のしびれ」「背中全体のこりと疲労感」などの症状に分けることができます。

 これらの症状は、姿勢の悪さや運動不足、生活習慣の乱れなど生活環境を背景とする、筋肉疲労性の慢性的な肩こりによるものがほとんどと考えられます。一方で、こりとは別の病気が存在し、その一つの症状として肩こりが現れることもあります。ときには見過ごすことのできない深刻な病気が肩こりを引き起こしていることもあるため原因の早期発見・早期治療が大切となり、注意が必要です。

 このように、肩こりを大きく分類すると、別の病気が原因でおこる「病気による肩こり」と、主に筋肉疲労からくる「病気未満の肩こり」に分けられます。ここでは主に、この二つのうち圧倒的に多い「病気未満の肩こり」について紹介します。



 人間の身体の構造はもともと肩こりが起きやすい

 肩こりの原因を考える場合、そもそも私たち人間の骨格が肩こりを招きやすい構造であることが以外に知られていません。病気でもないのに、肩や首すじに不快な症状が現れるのは、まさに人間ならではの身体の構造に理由があるのです。

 人間の身体は背骨によって支えられていますが、この背骨は頭蓋骨の下から骨盤まである椎骨と呼ばれる骨が24個重なり合った集合体で構成されています。さらに背骨は、首の骨ともいえる頸椎、背中にあたる胸椎、腰を支える腰椎の三つの部分に分けられます。

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 頸椎は胸椎や腰椎に比べて可動域が広く、平均的には前屈60度、後屈50度、左右に倒すと50度、またねじるときは70度程度と広い範囲で動きます。多彩な情報を収集する視覚、聴覚、嗅覚などの感覚器官が頭部に集まっているため、それらを広い範囲に機能させるために動くわけです。そして頸椎は、重い頭部を支えるという重要な役割も担っています。ヒトの頭部は体重の約10分の1弱といわれ、体重60の方であれば約4〜5の重量が常に頸椎にかかっていることになります。このように頸椎は、重い頭部を支えながら前後左右に動くわけですから、想像以上の負担が絶えずかかっていることはおわかりいただけるかと思います。

 

肩こりの直接の原因となるのは筋肉ですが、頸椎とともに重い頭部を支えながら動きをコントロールしているのは、主に頭最長筋(とうさいちょうきん)、頸棘筋(けいきょくきん)、頚最長筋(けいさいちょうきん)、頚腸肋筋(けいちょうろくきん)と呼ばれる筋肉です。これらの筋肉は、うなじの部分にあたり、頭部の位置を保つ役割を果たしています。したがって、頭部をある一定の方向に向け続けているだけでも大きな負担がかかるため、筋肉疲労性の首すじのこりや痛みはこの筋肉に集中して生じます。

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 次に、肩の構造についてみてみますと、肩は七つの関節の集合体で構成されています。肩は、左右それぞれに常に腕が吊り下がっており、腕の動きに連動してバリエーションに富んだ動きをします。腕はそれだけでもかなりの重量がある運動器ですが、重い荷物を手に持ったり手で機械を動かすときなどは、さらに大きな負荷がかかるため、肩関節の周辺の筋肉もまた疲労によるこりや痛みを生じやすいといえます。この肩関節の周辺には、鎖骨の上外側にある僧帽筋(そうぼうきん)、肩から上腕の外側に至る部分を覆う三角筋さんかくきん)、背中の部分で首と肩をつなぐ肩甲挙筋(けんこうきよきん)、菱形筋(りょうけいきん)などの筋肉があります。これらに大きな負担がかかると、筋肉疲労の痛みが出現します。特に前傾で肩甲骨が外側に偏位するようなねこ背の姿勢では、過度な負荷がかかり痛み、いわゆる肩こりが出現します。

 人間の正しい姿勢は、骨格によってかたち作られていますが、その姿勢を維持して身体の動きをコントロールしているのは筋肉です。つまり、身体の動きは筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことでコントロールされていますが、一定の姿勢を保ち続けると、ある筋肉が収縮し続けなければならたいため、結果としてその筋肉に疲労がたまることになります。また、筋肉は収縮と弛緩により血管を圧迫したり緩めたりしながら、ポンプのように血行を促す役割も果たして
います。しかし、一定の姿勢を保つことでこうした運動が止まると、血流が滞ってしまい十分な酸素を筋肉に運ぶことが出来なくなります。これもまた、筋肉の疲労に拍車をかけることになります。

 筋肉の疲労はこりや痛みの原因となるため、筋肉量が少ない方や筋力の弱い方は、肩や首すじがより疲労しやすいと考えられます。このことが、欧米人より日本人のほうが、また男性より女性のほうが肩こりを引き起こしやすい理由であると考えられています。



 肩こりは生活環境が原因

 肩こりは生活環境が原因であるともいわれていますが、なぜ、生活環境が肩こりにつながるのでしょうか。その答えは、便利な日用品やビジネスツールが次々に開発され、しかも交通機関が発達した現代社会そのものにあると考えられます。すなわち、全身をあまり動かさず、しかも同じ筋肉ばかり使う生活を送るようになったことが、肩こりの原因となっているのです。

 人間の身体は本来、数多くの筋肉、神経、骨などが複雑に絡み合って全身で動作する、極めて精密なマシンといえますが、現代社会では全身を動かす機会が減っています。一見すると大変楽で快適そうですが、これは身体にとっては決して良いことではありません。全身性の運動が減り、一定の姿勢を保つ時間が増えるほど、同じ筋肉に同じ負担をかけ続けることになり、結果としてこりや痛みが出現しやすくなるのです。

 また、現代社会ではストレスがかかることも多く、このストレスも肩こりの一因とされています。その理由は、自律神経という神経が重要な鍵を握っています。自律神経は交感神経と副交感神経とに分けられ、この二つがバランスよく働くことで健康が維持されていますが、ストレスが強まると交感神経が過度に反応するため、肩や首周辺の血管が収縮し、血行障害を起こしてしまうのです。
つまり、ストレスはこうした経絡を介して血流を停滞させ、結果として肩こりを起こすと考えられます。

 このように、身体の構造と現代人の生活環境を考え合わせると、いかに肩こりが起きやすい状況下で私たちが暮らしているかがおわかりいただけるかと思います。

ここまで、肩こりは筋肉疲労と血行障害が主な原因であることをお話ししましたが、次に、肩こりの起きる様子を詳しくみてみましょう。


 筋肉疲労から始まる肩こりサイクル};

 慢性的な肩や首すじのこりや痛みには、それを助長する一つのサイクルがあるといわれています。肩こりサイクルの始まりは、筋肉の緊張状態で、同じ姿勢を続けることはその一例になります。筋肉の緊張が続くと筋肉を構成する筋線維が張り詰めて、筋線維の中を通っている血管を圧迫します。すると血流が阻害され、筋肉活動に必要な酸素が十分に供給されなくなり、本来はエネルギーに変換されるはずのブドウ糖が筋肉中で不完全燃焼を起こし、老廃物質が産生、蓄積されます。
エネルギー不足で弱った筋肉はさらに血液の流れを滞らせ、特に静脈のうっ血が進展すると血中の老廃物の蓄積が助長されます。蓄積された老廃物は、緊張状態にある筋肉や末梢神経を刺激し、その刺激は大脳に伝達されて痛みとして認識されるのです。大脳が痛みを認識すると神経が興奮するため、ますます筋肉や血管は収縮します。この悪循環が繰り返されると、慢性的な肩こりに陥ることになります。

 肩や首すじのこりや痛みを改善し、再発を予防するためには、この肩こりサイクルを断ち切らなければなりません。そのためには筋肉疲労を解消し、筋力アップを図る必要があります。さらに、静脈の血行障害を改善するために、筋肉の収縮と弛緩をリズミカルに繰り返すことで血流のポンプ機能を活性化するような運動療法などの対処が必要となります。


 手のしびれが強ければ受診を考える

 ここで、医療機関の受診が必要となる「病気による肩こり」について少し触れておきましょう。

 前述のように、肩こりの原因には、他の病気による場合もありますが、患者さん自身で原因を判断できる場合はほとんどありません。一般的には、肩こりなどの症状がある場合は医療機関を受診するより、薬局で貼付剤やビタミン剤を購入したり、マッサージや針灸で対処する方が多いのではないでしょうか。

 しかし、肩こりが他の病気のサインである可能性もありますので、いつもと違う症状が現れた場合は、整形外科などの専門医を受診していただきたいと思います。

 初診時には、問診、視診、触診により、症状が現れた時期を確認するとともに、頸椎や肩に異常がないかなどを調べます。また、突発性や急性の痛みがあればレントゲン検査も行います。さらに、手のしびれ症状を伴う場合は、椎間板の変形や異常を詳細に観察できるMRI検査を行うこともあります。これは、手のしびれ症状がある場合には、他の病気が存在する可能性があるからです。例えば、手のしびれ症状が強い、手に力が入らない、それまでできていた細かい仕事ができない、ボタンがかけらないなど、手の神経症状や機能障害が認められれば後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)*などが疑われます。

*後縦靭帯骨化症とは椎骨同士の連なりを補強している後縦靭帯という部分にカルシウムが沈着し、骨のように硬くなり厚みが増すことによって、脛骨部分の神経が圧迫され肩や首の痛みを引き起こす病気。

 また、肩こりに対する一般的な対処では全く痛みが取れない場合や、めまい、のぼせ、動悸、肩と首全体の痛み、場所が一定しない痛み、胸部や腹部の痛みを伴う場合も他の病気が存在する可能性があります。この他、肩や首すじの痛みが増強する場合は、変形性頸椎症やがんの転移も考えられます。さらに、決まった時間帯に同じ場所が痛む場合も注意が必要です。例えば、明け方に左胸から肩にかけて痛みがあれば、冠攣縮性狭心症が疑われます。

 もちろん、このような症状があっても他の病気による可能性が否定されれば、筋肉疲労の肩こりと考えることができます。その場合は、日常の生活指導と運動療法を中心とする治療を開始します。


 肩こりの予防には日常生活の見直しを

 医療機関で行う肩こりの治療の最大の目的は、急性期の炎症を鎮めることと、筋力アップのための運動ができるように痛みを抑えることです。そのため初期治療においては、消炎鎮痛剤や湿布剤とともに、痛みを産み出している筋肉の緊張を改善するため筋弛緩剤を処方することもあります。

 さらに血行促進を考え、電磁波や遠赤外線、レーザーなどの照射、パラフィン浴などの温熱療法も有用な選択肢となります。また、筋肉の収縮や緊張が著しい場合は、頸椎とその周辺を伸ばすことで圧迫症状を軽減するけん引療法も考慮します。

 薬物療法や温熱療法で当初の愁訴が軽減されれば、ストレッチと筋肉トレーニングを中心に、肩や首筋の健康を保つことが大切です。一人でできるストレッチやマッサージを覚えることも肩こりの予防に有効です。その際、筋肉の疲労軽減を助けるために、ビタミンB1製剤やビタミンB1・B6・B12製剤などを補助的に服用することもよいでしょう。

*パラフィン浴:温熱療法の一つ。ろうそくの材料としても使われるパラフィンを温めて溶かし、これに患部を浸して乾かすという動作を繰り返した後、最後に付着したパラフィンを固め、湿熱加温する方法。

 しかし、これらは痛みの根本的な治療ではありません。本来の症状改善と再発予防には運動療法を筆頭に、患者さんの日常生活の中で実践されるべきことが多いのです。こうした方法は長期間取り組んで初めて効果が得られることをよく認識する必要があり、治療の基本はあくまでも患者さん自身の前向きな取り組みによるということが、現在の治療の基本姿勢です。これは、「病気による肩こり」も筋肉疲労性の「病気未満の肩こり」も同様です。

 日常生活の中で実践すべきこととしては、正しい姿勢を身に付けることが大変重要です。立位では、耳の穴、肩、股関節中央、膝関節中央、くるぶしが一直線になるようにします。座位では、深く腰をかけて背筋を真っ直ぐに伸ばすことと、そうした姿勢をとりやすい椅子や机を選ぶことが大切です。また、就寝時に枕の高さが合っていないと首すじに負担がかかってしまうので、バスタオルを重ねるなどして適切な高さを保つことも大きな効果が期待できます。

 その他に、首すじに大きな負担がかからないよう、うつむいた姿勢を長時間続けないことも大切です。例えば、職場であればデスクの上に置いてある備品の位置やパソコン・ディスプレイの角度を少し上向きにしたり、主婦であれば調理台やガスレンジの高さを見直すことも、疲労の軽減につながるでしょう。視力に合わない眼鏡やコンタクトレンズ、足に合わない靴も肩こりの原因となるため注意が必要です。さらに暗い環境は活動性を低下させるだけでなく、眼精疲労の原因ともなるので、周囲を適度な明るさに保ちましょう。

 そして、「〜しなければならない」というこだわりを持たないこと、「気軽にいこう」をキーワードに、悩みすぎず、肩こりは解消できると気軽に考えることも大切です。

(武田薬報 450号より)

















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